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【任せる】(『シティライフ』令和2年10月10日号掲載)

 「状態はよくありません…私も精一杯手を尽くしますので頑張りましょう」  思いがけない医師の発言。こちらは「わかりました。先生にお任せ致します」以外言葉が見つかりません。任せるとは思いきること。任せきったとき心の重荷から解放されます。結果、自然と頭が下がり医師に手が合わさるのです。
 そして治療の甲斐あって「驚くほど良くなっています」の言葉が聞けたなら、有頂天。そうなると頼りにした医師を拝むこともなくなります。任せることを止め、「自分本意の」元の暮らしに戻るからです。
 浄土真宗で仏様に頭を垂れ、手を合わすのは「任せる」ことです。自らの執着心を離れ、心の重荷から解放される行為なのです。
 お念仏のみ教えにおいては、我が命終わりて後を阿弥陀仏にお任せすることを説きます。それは避けられない我が死から逃げることなく、真正面から受け止めさせる為でした。死は辛いのですが、命終後を仏に任せきれたとき、初めて我は今の恵まれし命を精一杯生き抜けるのです。

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