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【苦悩の人生を生きる…】(弘教寺だより 令和2年8月号掲載)

 全身の筋肉が衰える「ALS」という難病患者の嘱託殺人事件が発生しました。ご本人は眼球の動きによって意思表示をされており、ブログに「最近唾液が飲み込めず、一日中むせて咳き込んでいる。すごく辛い。早く楽になりたい…」と訴えています。
 仏教の上からは「命は自分の所有物ではなく、従って自分の意志で命をもてあそんではならないのである」と申し上げます。
 ただ「自分がこの方の立場でもこの言葉を素直に受け止められるか」と問われると自信がありません。発症後九年が経ち、24時間ヘルパーに支えられてのみ生きられる、「咳き込みと吸引とで一日が過ぎる」暮らしに自分は耐えられるのかということです。
 結局、答えは出せないのかも知れません。いえ、答えを出してはいけないのだと思います。生きていたい。でも生きることが本当に辛い。その狭間で揺れ続けるのが、病気の有無を超えて人間の本質でしょう。
 仏様は私の苦悩の全てをお見抜きです。その上で私をそんな苦悩からなんとか離れさせようとおはたらき下さっています。その為に私の心の叫びを聞き続けて下さっています。

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