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【人生は甘美である】(『シティライフ』令和2年8月8日号掲載)

 釈尊は最期の旅にて「この世は美しい、人生は甘美である」とおっしゃいました。しかし仏教の根本は人生「一切皆苦」ですから、一見矛盾するようです。
 この点を仏教学者の中村元師は、「『甘美』とは味わうほどに深みがある」の意だとおっしゃっています。「人の命は尊く味わい深いものである」…釈尊は八十歳になり、人生を振り返ってそう感じられたのです。
 悟りを得た釈尊だからこそのお言葉かも知れません。でも仏教には人生をそのように受け止めさせるはたらきがあることは間違いありません。
 我が身は何ともなりません。「老病死」丸抱えで逃げられません。我が心も煩悩…欲望尽きぬことから苦悩からの解放も望めません。それでも尚、人生は味わい深いものなのです。
少なくとも人生の何たるかがわかっていない私が、人生を決め付け、投げ出してはならないのだと思います。否、それはあまりに勿体ないことです。仏となられた先祖方も「だから生きるのだ。私も一緒だよ」とおっしゃっておられます。

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