第82回 【夢見】

　言っちゃなんですが、私は結構「鋭い」方だと自負してます。いえ、大したことじゃありません。ひどい歯ぎしりのため、歯が互いに削られ、鋭角に研ぎ上げられた部分があるというだけの話です。
　歯ぎしりの間は悪夢でも見ているのでしょうか。夢の記憶の断片すらありませんが、日々何の心配もなく満ち足りているなら、これほど歯がすり減ることもないと思うのです。「ごまめの歯ぎしり」そのものですね。私なりに就寝中も必死に頑張っている証拠と喜ぶべきかも知れませんが…。
　これはなにも私の歯に限ったことではなく、日々身を削り、神経をすり減らして働いている私達の生活そのものにも通じているようです。命をどんどん摩耗させていく現代は、人間社会の本当の姿と言えるのでしょうか。今一度「本当の本物の生き方」を自分自身に又、仏様に問うてみませんか。
　悪夢を離れて真の夢を思い描き、その実現のために生きたいものです。