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弘教寺だより・平成21年6月号掲載

 『余命一ヶ月の花嫁』という映画をご存じですか。長島千恵さんという女性が乳ガンに冒され、死の直前に交際していた男性と結婚式を挙げた実話を元に制作されました。長島さんはブログ(インターネット上の日記)に「みなさんに明日が来ることは奇跡です。それを知っているだけでも、日常は幸せなことだらけで溢れています」と書き遺しています。
 正直今までは、余命幾ばくもないお方の言葉には感銘を受けつつも、そうなのかな?位で受け止めていたのですが、でも今回は「本当にその通りですよね。まさにそう、嬉しいですよね」と言いたくてたまらないのです。それは私の老眼が今年になってからどんどん進み、老化を実感しているからかも知れません。いや、お念仏のお味わいが千恵さんの実感と同じなのだと気付かせてもらったせいでしょう。
 生きていること、それは無条件にすばらしいことなのです。そこになんだかんだと条件をつけ、自ら生きにくくしているのが私達でした。『今、命あることは本当にすばらしいよね』ということが仏教の出発点であり、またゴールだと思います。ともかくも今一度、千恵さんの言葉をご一緒に噛みしめましょうよ。

第105回 【命の共生】

『囗の中の蛙 大海を知らず』…息子に出されたことわざ問題です。(正解は「井」でした)
 その意味は「狭い世界しか知らないのにその中で威張っていること」だそうです。井戸に棲む蛙を見て作られたことわざでしょうが、限られた空間で必死に生きる蛙にとって大変失礼な言葉だと感じました。人間はもっと広く大きな世界を知っているということなのでしょうが、本当にそうなのか疑わしいものです。
 人は人を傷つけると罪に問われますが、うるさい蚊を叩きつぶしても罪にはなりません。人間は人間界のルールさえ守ればよいと勝手に決めていますが、それでは他の動物・自然と共存していくことはこの上なく困難なことでしょう。
 地球上の一生物としてもっと謙虚にならねば、この環境はどうなっていくのか…薄々私達は気付いています。今こそ全ての命の平等を説くみ教え(仏教)に、他の命と共に生き抜く智慧を頂くことが必要だと感じます。


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